「泣くな、はらちゃん #10(最終話) 」雑感
今頃、雑感です。時間が経ち過ぎてしまいました。
ふーむ。書くタイミングを逃すと、なかなか思いをこっち側に引き戻すのが難しいものですね。
さて、この「泣くな、はらちゃん」、1月から3月の間でとても楽しみにしていたドラマでした。
まず、異世界の人とのラブストーリーとして真っ当な終わり方だったと思います。何かミラクルを使って、はらちゃんが現実世界で普通の人間として生きられないかなと私は願っていたけれど、残念ながらそれは起こりえず、はらちゃんと越前さんはそれぞれの世界のそれぞれの立ち位置で生きていくことになりました。
越前さんも、百合子さんも、田中くんも、悪魔さんも、はらちゃんに出会う前とはちょっとだけ違う日々を、でもとても大きな一歩で前に進んでいくのだと思います。
はらちゃんの愛の有り様も変わりました。
はらちゃんの愛は恋愛を超えて、無償の愛に昇華したのですね。もともとそういう傾向はあったけれども、そしてそれはとても素敵なことだけど、私はちょっと寂しかったりします。恋するはらちゃんも好きだからなあ。嫉妬するはらちゃんも見てみたかったよ。心にストンと落ちないのはそのせいかな。無償の愛ではなくラブラブのラブストーリーを観たかったんだよう。
だいたいですよ?百合子さんになぜ漫画世界に戻ることに決めたのかと訊ねられ、
はらちゃんは「離れていても両思いだからです」と答えたけど、え?それでいいの?と思いました。
7話のラストで、あんなに「越前さんと一緒にこの世界で生きていきたい」と叫んだ彼にどんな心の変化があったのでしょう。
越前さんと離れてしまったら両思いではなくなってしまう、という理由で、あのとき現実世界に残る決意をしたわけではないですよね?
彼には「越前さんと一緒にいたい」のほかに「この世界は素晴らしい!」も理由としてあったと思います。そして、ロックな父さんの「好きな女を離しちゃいけない」の言葉。
もうちょっと恋愛成分、ヒーロー成分が欲しかったなーと思います。
はらちゃんはそこを通り越してずっと大人の人になりました。工場で越前さんを見守る姿は父親のようでもあったり。
御神輿担いでの「ありがとう!」はこの現実世界に向けた言葉に思えました。はらちゃんは、この世界を肯定してくれたんだな。ありがとう。
そして、新婚ごっこ。ごっこ遊びなことは、はらちゃんも分かってたかもしれないけれど、工場長の遺した言葉をはらちゃんなりに果たしたかったのかなあと。
「あんなに素敵な世界なのに」「こんなに素敵なひとなのに」と、ひとことひとことゆっくり越前さんに伝える言葉ははらちゃん自身も心に書き留めているかのようでした。
あの7話での心境から彼の中でどんな変化があったのかしら。元々大人キャラであるがゆえに物事の分別のある人であるはらちゃんですけどね、そこが気になります。
越前さんに現実世界と両思いになってください、と望むからにははらちゃん自身も漫画世界と両思いにならなければ、と思ったのかもしれませんが、「嫌です、嫌です、越前さんと一緒にこの世界で生きていたい!」から、離れていても両思いだからです、の間に何が起きたか?と思うのです。
離れたら両思いじゃなくなっちゃう、から7話のときに残ったわけじゃないよね。夢を諦めたことになるの?はらちゃん?
はらちゃんも漫画世界の現実として受け止めざるを得なかったのかなあ?
人間としてよくある体験を短期間ではらちゃんは歩んだのかもしれないですね。。
最後の雨のシーン。みっともなく転ぶ越前さんの前に、そっと傘を差し出しながら笑顔で現れたはらちゃんにとてもホッしました。もしかしたら、越前さんの夢の中かもしれないけれど、私はそうじゃないと思いたいです。まだまだ越前さんとはらちゃんの物語は終わってないんだよって、そう信じたいです。